ヴァイザーグの名家に引き取られて育った孤児のシンハードリは、彼を実子のようにかわいがる当主ヴァルマの恩に報いるため日々尽くしている。しかし一方で彼は、家の誰にも知らせずに、郊外の療養施設で暮らす精神を病んだ女性インドゥの世話をしている。彼は12年に1度の大祭プシュカラムに参列するためインドゥを連れてラージャマンドリに出かけるが、彼を2組の謎の集団が追う。そして参列者で賑わうゴーダーヴァリ河のガートで予期せぬ出来事が起きる。S・S・ラージャマウリ監督が2001年のデビュー作『Student No.1』に続いてNTRジュニアと組んだスケールの大きなアクション作品。

  • (Nandamuri Taraka Rama Rao Junior)
    1983年生まれ。愛称はターラク。テルグ語映画史における最大のスターで、後にアーンドラ・プラデーシュ州の州首相にもなったナンダムーリ・ターラカ・ラーマ・ラーオを始祖とする芸能一家の一員。ヒーローとしては『Ninnu Choodalani』(未・2001)でデビューし、続く『Student No.1』(未・2001)でS・S・ラージャマウリ監督と初めてタッグを組む。以降はアクション路線をとり、ラージャマウリと再び組んだ本作『シンハードリ』(2003)も大ヒット。これ以降、テルグ語映画界の若手ヒーローのトップ集団の1人になっていった。『RRR』(2021)はラージャマウリ作品への4回目の出演で、世界的なヒットとなり、ファン層をさらに広げた。さらに『デーヴァラ』(2024)も日本で公開された。
  • (Bhumika Chawla)
    1976年、デリーで生まれる。父は軍人で、両親ともにパンジャーブ語話者。1997年にマハーラーシュトラ州ムンバイに移り住み、テレビ・コマーシャルやミュージック・ビデオなどに出演を始める。テレビドラマ出演を経て、テルグ語の『Yuvakudu』(未・2000)のヒロインとして映画デビュー。パワン・カリヤーンと共演の『Kushi』(未・2001)が大ヒットし、以降テルグ語映画を中心に、2010年ごろまで売れっ子として活動し、それ以降もゆったりとしたペースで映画出演を続けている。日本で紹介された出演作に、『ガンディー わが父』(2007)、『M.S.ドーニー ~語られざる物語~』(2016)などがある。
  • (Ankita Jhaveri)
    1982年、マハーラーシュトラ州ボンベイ(現ムンバイ)で生まれる。子供の頃からテレビ・コマーシャルに出演し、特に果汁飲料ラスナーのマスコット・ガールとしてテレビに登場した姿が人々の記憶に残り、成人後もしばしば「ラスナー・ベイビー」と呼ばれた。映画デビューはNTRジュニアの父ハリクリシュナ主演の『Lahiri Lahiri Lahirilo』(未・2002)によって。以降2009年ごろまで、テルグ語映画を中心に映画出演を続けたが、その後留学のため米国ロサンゼルスに渡り、2016年にムンバイ出身の在米ビジネスマンと結婚した。米国でもテレビドラマ出演など芸能活動を続けたが、近年インド映画に復帰している。
  • (Mukesh Rishi)
    1956年にジャンムー・カシミール州(現連邦直轄領)のジャンムーで生まれる。外国を含む様々な土地を転々としたのち、ニュージーランドでモデルとしての活動を始めたが、それに飽き足らず、ムンバイの演劇学校で学んだ後、ヒンディー語作品『Parampara』(未・1993)の脇役でデビュー。翌1994年には『Gandeevam』(未)でテルグ語映画デビューし、以降はヒンディー語とテルグ語の両方で、主に悪役として活躍するようになる。日本で紹介された作品に、『ブリンダーヴァナムナム 恋の輪舞』(2010)、『リシの旅路』(2019)、『サイラー ナラシムハー・レッディ 偉大なる反逆者』(2019)などがある。
  • (Nassar)
    1958年、マドラス州(現タミルナードゥ州)チェンガルパットゥ県に生まれ、幼少期にマドラス(現チェンナイ)に移り住む。大学卒業後、短期間の空軍勤務の後に演劇学校で学び、1985年に『Kalyana Agathigal』(未)の脇役で映画デビュー。マニラトナム監督の『ナヤカン/顔役』(1987)での演技が高く評価され、タミル語映画界を代表する悪役・性格俳優となる。以降は、テルグ語、カンナダ語、マラヤーラム語、ヒンディー語の作品にも幅広く出演し、フィルモグラフィーは550本を超える。日本で紹介された作品も、『バードシャー テルグの皇帝』(2013)、『バーフバリ』二部作(2015/17)など多数。
  • (Ramya Krishna)
    1970年、タミルナードゥ州マドラス(現チェンナイ)に生まれる。タミル語作品『Vellai Manasu』(未・1985)でデビュー。以降はタミル語とテルグ語を中心に複数の映画界で売れっ子となる。ヒロインとしての出演だけではなく、ストーリーとは無関係にダンスシーンにだけ登場する、いわゆる“アイテム出演”も数多くこなす。『パダヤッパ いつでも俺はマジだぜ!』(1999)では主演のラジニカーントを凌駕するほどの存在感で悪役をつとめた。土俗系神話映画『Ammoru』(未・1995)の成功以降は女神役での出演も増えた。その他の出演作に『バーフバリ』二部作(2015/17)、『ジェイラー』(2023)など。

  • (S.S.Rajamouli)
    1973年、マイソール州(現カルナータカ州)ラーヤチュール県で生まれ、現在はテランガーナ州ハイダラーバードが本拠地。脚本助手やテレビドラマの監督からスタートし、デビュー間もないNTRジュニアを主役にすえた『Student No.1』(未・2001)で監督デビュー。『マッキー』(2012)で試みた多言語同時制作を『バーフバリ』二部作(2015/17)で本格化させ、同作のメガヒットにより、「汎インド映画」の旗手としてインド全体で注目されるようになる。『RRR』(2021)が米国アカデミー賞最優秀歌曲賞を獲得したことにより、世界的な名声を得る。
  • (M. M. Keeravani)
    1961年、アーンドラ・プラデーシュ州コッヴールに生まれる。ラージャマウリ監督の従兄にあたり、その全作品の音楽を手がける。1990年に音楽監督としてスタートし、以降たずさわった映画作品はテルグ、ヒンディー、タミル、カンナダ、マラヤーラムの5言語にわたり、200本超とも言われる。タミル語映画ではマラガダ・マニ、ヒンディー語映画ではM・M・カリームと、ペンネームを使い分けることもある。代表作は『マガディーラ 勇者転生』(2009)、『バーフバリ』二部作(2015/17)など。『RRR』(2021)中の「ナートゥ・ナートゥ」が米国アカデミー賞最優秀歌曲賞を共同受賞した。息子のカーラ・バイラヴァは歌手。